シャドーバンキング解体新書中国の不動産バブルの原因となっている、謎の金融システムの実体

シャドーバンキング問題の世界経済への影響

中国のシャドーバンキングは、あくまで中国国内だけの問題です。サブプライムローン問題(リーマンショック)の場合、世界中の金融商品に紛れ込んでいた事で、影響はアメリカ国内に留まらず、世界に波及する事となりました。しかし、シャドーバンキングの理財商品は、中国国内だけに流通するものであり、また購入しているのもほぼ現地の中国人投資家だけです。

一見すると、シャドーバンキングが崩壊して、中国の不動産バブルが破裂したとしても、世界への影響力は無さそうに思えます。しかし現実は違います。残念ながらシャドーバンキング問題は、確実に世界経済に大きな悪影響を及ぼす事になります。なぜなら、21世紀に入って世界経済の連動性が、極端に高まっているからです。

世界経済の連動性が高まっている理由の一つは、世界の投資家がよりグローバルに資金を動かすようになった事です。20世紀までは閉ざされた市場だった中国やインドも、近年は(制限付きとはいえ)海外からの投資が可能になりました。また、インターネットの発達により、個人レベルでも世界の国々に簡単に投資する環境が整い出しました。そして、富裕層のマネーを預かるヘッジファンドは、先物やオプションなど様々な手法を用いて、グローバルな市場に収益機会を求めて、投資を拡大しています。

21世紀になった現在、マネーの世界では国境が無くなりつつあるのです。ゆえに、世界の何処かで金融危機が起きれば、世界中の投資家が一気にリスクオフ(様々な金融商品を安全資産に鞍替えする)するので、危機は世界に相関するのです。当然、株式市場の暴落は実体経済にも悪影響を及ぼすので、世界の金融危機は「世界の経済停滞」へと波及するのです。

もう一つの理由として、金融面だけでなく、実体経済の変化の面からも、世界経済の連動性は高まっていることも挙げられます。2007年に起きたサブプライムローン問題の時、アメリカ経済と中国などの新興国とは「デカップリングする(相関しない)」と言われていました。サブプライム債券が紛れ込んだ金融商品は、確かに世界に拡散しましたが、それはあくまでヨーロッパなど先進国が中心でした。しかも、中国は特にその影響は受けにくい(中国人投資家の海外資産への投資に厳しい制限がある)と見られていました。

しかし現実は違い、2008年のリーマンショック後には、中国経済も大きな減速を余儀なくされ、デカップリングは起きませんでした。先進国の景気減速による生産縮小が、中国の輸出を大きく減少させた事が、主な要因です。徐々に変わりつつあるとはいえ、中国は未だに安い労働力が強みの「世界の工場」であるからです。

更に例を挙げると、2010年のギリシャ危機が世界に悪影響を与えた事も、世界経済の連動性を如実に表しています。ギリシャと言えば、人口1000万人程度の小国であり、過去の歴史を見ても財政破綻の常連国でした。世界全体から見れば「どうでもいいレベルの国の日常風景」であるはずが、実際にはリーマンショックから回復しつつあった世界経済を、再び金融危機に陥れた訳です。

サブプライムローンと同規模だが、影響は遙かに大きい

ギリシャ如きですら、これだけの悪影響を与えた訳です。人口13億人以上の中国経済が、シャドーバンキング問題で崩壊すれば、世界に与える影響が甚大である事は、容易に想像できるはずです。シャドーバンキング問題と世界経済がデカップリングするなど、あり得ない話です。

サブプライムローンの貸出残高が1.3兆ドル(約130兆円)でしたが、中国のシャドーバンキングの規模も2013年現在で130兆円程度と推計されています。規模としては丁度同じ位ですが、中国のGDPはアメリカの半分程度ですから、国家全体としてのダメージは中国の方が遙かに大きくなります。

そして、中国はご存知のように、非民主的な独裁国家です。国家経済が危機に晒されるリスクを感じれば、人民元の切り下げや外資の締め出しなど、極端な政策を取ってもおかしくありません。そのような事を国際社会は容認しないでしょうが、中国は国連の常任理事国であり、核保有国でもあります。中国政府がやろうと思えば、どんな無茶な政策でも、彼らの一存だけで行う事が可能です。

もしシャドーバンキング問題が引き金となり、中国の不動産バブルが崩壊すれば、その時点で世界的な金融危機へと発展するでしょう。そして中国政府が、人民元の切り下げや外資の締め出しなど、極端な保護主義政策に走れば、世界経済には更に大きな影響を及ぼす事になります。そこまで行けば、リーマンショックを超え、1929年に匹敵する世界大恐慌へと発展するリスクすら考えられます。

基本情報 シャドーバンキングとは? シャドーバンキングの仕組み シャドーバンキングの規模 中国は不動産バブルなのか? 日本の不動産バブルとの類似点 サブプライム問題との共通点 規制は難しい 
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