シャドーバンキング解体新書中国の不動産バブルの原因となっている、謎の金融システムの実体

シャドーバンキングの規制は難しい

他のページでも述べてきたように、シャドーバンキング〜不動産バブルの問題は、将来的に中国経済に大きな影響を及ぼします。では中国政府は、どのようにシャドーバンキング問題を規制していくつもりなのでしょうか?

2013年に開かれた、中国政府の指針を示す全人代(全国人民代表大会)でも、シャドーバンキング問題は大きな議題の一つになっており、問題解決に向けた姿勢は「一応」示されました。また2014年初頭には、中国国務院が「シャドーバンキングの規制を強化する」と発表したと、オフレコの情報も出回りました。

しかし、この具体性に欠けた中途半端な姿勢が、シャドーバンキングの取り締まりが極めて難しい事を、逆説的に表しています。本当に規制する事が可能なら、このような観測気球的な情報の出し方は行わず、もっと影響力の高い方法を使うはずです。中国共産党自ら、特に習近平国家主席が明確に規制を発表すれば、強い抑止力が働くはずです。

シャドーバンキングの規制が難しい理由は、中国の景気への影響が非常に大きい為です。中国では、GDPの半分近くが「総固定資本形成(不動産開発を中心とした公共投資)」で占められています。そして、この公共投資のかなりの部分が、シャドーバンキングなどを使った銀行の簿外融資によって支えられています(⇒シャドーバンキングの規模)。特に内陸部では、財源に乏しい地方政府が、率先してシャドーバンキングを使った不動産投資を行い、無理矢理経済を回しているのが現状です。

もしシャドーバンキングという制度に、何らかの規制を掛ければ、経済が一気に減速する可能性が極めて高いです。当然ながら、地方政府の中には資金繰りが破綻する所も生まれると予測され、中国共産党への忠誠心が薄れるリスクが高まります。

何より、中国共産党が最も恐れている事は、貧困層を中心に政府への不満が爆発し、所謂「倒幕運動」に繋がる事です。経済成長が鈍化すれば、貧困層を中心に失業者が拡大し、政権への不満が高まる事は確実です。また、2011年に起きた「アラブの春」〜シリアやエジプトでの反政府デモの拡大による政権崩壊が、より一層、中国共産党の幹部連中を神経質にさせました。

習近平は問題の先送りしか考えていない?

シャドーバンキングへの規制は、地方政府も国民も、全てが中国共産党への不満を拡大させる可能性が高いです。習近平国家主席の体制は、2012年末に誕生したばかりで、まだ政治基盤も盤石とはいえない状況です。ですから、自らの地位が揺らぐリスクを抱えてまで、習近平政権が「本気で」シャドーバンキング問題の解決に乗り出すとは、考えづらいのです。ゆえに前述のように、党大会では曖昧なレベルの規制発言しか行わなかったり、メディアを通じたオフレコ情報でゆるやかに牽制を行う程度が、精一杯の対策なのでしょう。

これは当サイトの予想ですが、おそらく習近平は日本の官僚組織と同じ思考で、問題の先送りだけを考えているはずです。即ち、リスクを負ってまで問題解決に乗り出そうとせず、自分の任期だけとりあえず乗り切ろうと、問題を先送りしていく可能性が高いと思われます。

しかし規制を怠れば、シャドーバンキング問題がいつ崩壊するかも予測が付きません。習近平政権がお茶を濁すような態度を続ければ、不動産開発の拡張は続いていきますし、バブルは膨らめば膨らむほど破裂時のダメージが大きくなります。政策金利や預金準備率の引き上げは難しいので、まずは確実に不動産バブル抑制に影響する「固定資産税」の強化を図っていくべきだと思います。

◆関連ページ;中国のGDP内訳〜諸外国と比べて、総固定資本形成の割合が突出している(BRICs辞典)
中国の預金準備率推移〜景気とのバランスで、変更が難しい情勢(人民元投資〜切り上げと為替差益)

基本情報 シャドーバンキングとは? シャドーバンキングの仕組み シャドーバンキングの規模 中国は不動産バブルなのか? 日本の不動産バブルとの類似点 サブプライム問題との共通点 規制は難しい 
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