シャドーバンキング解体新書中国の不動産バブルの原因となっている、謎の金融システムの実体

シャドーバンキング問題の解決方法はあるのか?

シャドーバンキング問題の解決方法として、まず不動産融資に総量規制を設ける方法が考えられます。総量規制とは、銀行に融資を抑制させるべく、一定の規制を掛ける法律の事です。日本でも1990年に、不動産バブル潰しのために「不動産融資の伸び率を、総融資の伸び率以下とする」という総量規制が導入された歴史があります。

しかし、中国のシャドーバンキング問題に対しては、総量規制を掛けても効果は無いでしょう。そもそもシャドーバンキングが、銀行が自社と切り離した会社に融資させる制度なので、総量規制の適用外になるからです(シャドーバンキングの仕組み)。仮に中国政府が、現在のシャドーバンキングにも機能するような形の総量規制を設けたとしても、どうせその法律を回避するような形の融資制度が新たに生まれ、隠れた不良債権が増えるだけですから、完全に無意味でしょう。

別の問題解決方法としては、金融引き締めを強めるという方法があります。金融引き締めとは、政策金利や預金準備率を引き上げる事です。これは、確実に不動産バブルの抑制効果がある方法です。

但し、金融引き締めは不動産バブルだけでなく、中国経済全体にブレーキを掛けることになります。中国では現在、景気減速期に入っており、2012年度のGDP成長率は7.8%と、2000年代以降で最低の水準に落ち込んでいます。格差問題も深刻化しており、中国政府は(自身への批判を避けるためにも)高い経済成長を続ける必要性があります。

シャドーバンキング問題が深刻化しているにも関わらず、政策金利は2012年7月以降、預金準備率は2012年5月以降、1年以上も現状維持が続いている※参考)のは、中国政府が景気減速リスクを恐れているからに他なりません。

固定資産税の導入でソフトランディングを図るのが最善だが・・・

そこで、景気への悪影響が最小限で、かつ不動産バブルの抑制に有効な政策として、固定資産税の増税が挙げられます。不動産の保有で税金が発生すれば、当然、投資する人は減少します。金融引き締めだと、不動産以外の一般の経済活動にもブレーキをかけますが、固定資産税なら不動産投資にのみ、抑制をかけられます。

現状では、固定資産税の導入拡大と増税こそが、不動産バブルの抑制〜シャドーバンキング問題を解決する為の、最善の方法と思われます。実際に、上海では2011年1月より、2件目の物件取得など一部条件付きで、固定資産税が試験的に導入されました。

問題は、固定資産税は強力な不動産投資の抑制策となるので、バブル崩壊に直結する事です。中国政府は、90年代の日本のようなハードランディングは、経済へのダメージが大きいので絶対に避けたいと考えています。対象範囲と税率をゆるやかに拡大しつつ、不動産バブルをソフトランディングさせることが、中国政府の命題でしょう。

但し、中国政府の思惑を達成するのは、簡単ではありません。シャドーバンキング(理財商品)の規模は130兆円以上に達すると見込まれており、これはGDPの約20%という巨大さです。ソフトランディングさせようにも、バブルが余りにも大きすぎるので、残念ながら上手くいかない可能性が高いでしょう。シャドーバンキングを認識していながら、問題解決を先送りしてきた中国政府に、ツケが回ってきた形です。

※参考中国の預金準備率推移。政策金利推移のページもあり(人民元投資〜切り上げと為替差益)。

基本情報 シャドーバンキングとは? シャドーバンキングの仕組み シャドーバンキングの規模 中国は不動産バブルなのか? 日本の不動産バブルとの類似点 サブプライム問題との共通点 規制は難しい 
経済への影響 世界経済への影響 日本への影響 問題の解決方法は? 破綻(デフォルト)は避けられない 人民元の切り下げもあり得る?
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