シャドーバンキング解体新書中国の不動産バブルの原因となっている、謎の金融システムの実体

シャドーバンキングと日本の不動産バブルとの類似点

中国のシャドーバンキングは、不動産バブルの恩恵にあやかろうとする、銀行や投資家の欲望によって生まれた産物です。これは、我々日本人からすれば、デジャブを見ているかのようです。

オリンピックや万博を経験し、10%を超える高度経済成長を続ける裏側で、深刻な公害問題を引き起こした中国の姿は、60年代の日本そのものです。そして今、中国は超絶的な不動産バブルが起きています。これもまた、80年代後半の日本と酷似した状況です。

80年代の日本のバブルは凄まじく、史上初めて株式時価総額がアメリカを上回った国となりました。他にも「皇居の地価がカリフォルニア州全土の地価を上回った」とか「NTTの時価総額が西ドイツの株式市場全銘柄を上回った」や「世界長者番付で日本人が1位と2位を独占した(※注1)」など、数々の逸話が残っています。

80年代の日本の不動産バブルの原因は、まず1985年のプラザ合意がきっかけです。2度のオイルショックなどから起きたアメリカの不況を助けるため、G5各国がドル売りの為替介入で協調したのです。このため、1ドル=240円前後だった為替レートは、一気に150円前後まで円高が進み、日本国内は一時的に円高デフレ不況が起きます。

その対策として、公定歩合(現在の政策金利)が4%も引き下げられる金融緩和が行われ、かつ政府も減税など内需拡大策を取ります。この事が、日本国内で金余りを生み、株や不動産市場のバブルを引き起こしました。特に不動産バブルに関しては、企業も国民も土地転がしに過剰に熱狂しているにも関わらず、金融引き締め(利上げ)のタイミングが遅れた事が、致命的だったと言えます。従って、バブルが膨らみきってから破裂する羽目に陥り、銀行の不良債権は膨大なものとなり、10年以上もの長い不況へと迷い込む事になりました。

現在の中国は1980年代の日本に極めて似ている

翻って、現在の中国と世界経済の状況も、当時と共通の問題が幾つもあります。まず、世界的に不景気であり、世界的に低金利=金余り状態が続いている事。そして中国政府も、経済成長を優先するが為に、金融引き締めが不十分である事。銀行に隠れた不良債権が拡大している事。そして「不動産価格は上がり続ける」と国民・投資家が熱狂している事・・・あらゆる点から、現在の中国は、1980年代の日本と非常に似ており、同じ道を辿っているようにしか見えません。

中国政府は、不動産市場がバブルである事は十分認識しています。そして、1990年代の日本のバブル潰しの失敗を研究し、同じ轍を踏まないよう、注意を払っていると言われてきました。しかし、シャドーバンキングがのさばり続けている現状からは、中国政府の政策は中途半端であり、バブル抑制には完全に失敗していると言えます。

2013年現在、中国政府はGDP成長率が鈍化している事に焦り、金融引き締めを行えないどころか、逆に緩和に踏み切ろうとする姿勢すら見て取れます。習近平は問題の先送りだけを考えており、自分の任期中に経済が崩壊するのだけは避けようと、問題を先送りしていく可能性が高いです。

したがって、おそらく中国経済はソフトランディングに失敗し、不動産バブル崩壊により経済に急ブレーキが掛かると思います。その影響は世界に波及し、残念ながら日本経済も無傷では居られないでしょう。その時期が何時になるのか・・・問題はそこに移りつつあります。

※注1;1位は西武グループの堤義明氏、2位は森ビルの森秦吉郎氏。日本人は1989年のトップ10に6人もランクインした。

基本情報 シャドーバンキングとは? シャドーバンキングの仕組み シャドーバンキングの規模 中国は不動産バブルなのか? 日本の不動産バブルとの類似点 サブプライム問題との共通点 規制は難しい 
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